今さら聞けない!?
波長最適化で劇的にコントラストを高める方法

(2025年1月)

欠点のコントラストが低く、人の目では確認が難しい場合でも、照明の波長を工夫することで
劇的に改善できる可能性があります。今回の徒然日記は、初心に立ち返り、基本的でありながら、
画像処理の撮像に重要な波長最適化と観察法について、新キャラクターとともにわかりやくお届けします。

登場人物

  • ライティングコンサルタント Aくん・・・数多くの難案件をライティング技術で解決に導く、期待のコンサルタント
  • 営業マン Bくん・・・元気とやる気だけが取り柄のシーシーエスのムードメーカー的営業マン
  • 営業マン Eくん・・・配属されて間もない素直さが取り柄の期待の新人営業マン

今日は新人営業マンEくんが、お客様から預かったワークサンプルの照明選定をしています。

営業 Bくん

「お~!E、年明け早々頑張ってるじゃないか!」

 

営業 Eくん

「あ、B先輩!僕も今年は、いっそうデキる営業マンになるべく、

 早速預かってきたワークサンプルで実験してるんですよ。」

 

営業 Bくん

「ん? 白い樹脂の部品っぽいけど、これの何を見てるんだ?」

 

営業 Eくん

「ここ見てください。うっすら黄色いシミみたいなのが有るの分かりますか?」

 

営業 Bくん

「うーん。言われてみるとあるような、無いような...。」

 

営業 Eくん

「ほんと微妙なんで、よく目を凝らさないと分からないんですよ。

 こんなのホントにカメラで捉えられるんですかね?」

 

営業 Bくん

「そりゃ、大丈夫に決まってるだろ!この照明で、ブワって照射してバチって撮像したら、・・・

 あれ? 全然見えてこないなぁ~?」

 

Aくん

「こらこら!気合と根性だけでどうにかしようとするんじゃない!!」

 

営業 Bくん

「いや、そうは言っても、これだけ微妙なシミは気合と根性で何とかするしかないだろ!」

 

営業 Eくん

「Aさん、何かヒントくださいよ~!」

 

Aくん

「シミを目で確認した時にわずかに黄色く見えるっていうことは、

 その部分で特定の光が吸収されているからそこだけ違って見えているんだ。

 どの波長が吸収されているかを考えてみるといいよ。」

 

営業 Eくん

「そうか! 赤と緑の光が混ざると黄色に見えるんだから、

 その二色が反射して、青色が吸収されているってことですよね?」

 

営業 Bくん

「ちょうど俺が言おうとしたこと、先に言っちゃったなぁ~!」

 

Aくん

「そう、その通り! シミに吸収されている色を照射すると、

 コントラストを上げることができるから、青色の光を照射してみてごらん。」

 

営業 Eくん

「わかりました! えい!」

 

営業 Bくん

「おおお!コントラストがちょっと良くなった気がする!」

 

営業 Eくん

「見えにくかったシミが浮かび上がってきましたね!」

 

営業 Bくん

「よし!これは俺の見立て通り、青色バー照明で決まりだな!」

 

Aくん

「いや、さっき一緒になって驚いてたくせに...。

 それに、まだこれじゃあ、完璧とは言えないぞ~!」

 

営業 Eくん

「確かにさっきよりは見やすくなったけど、

 コントラストがばっちり良くなったわけではないですね。」

 

Aくん

「ワーク表面を拡大してよく見てごらん。」

 

営業 Eくん

「あ、よく見ると表面が少しザラついていてその部分で鈍く光が反射してる!」

 

Aくん

「そう、よく気が付いたね。それは正反射光が返っている証拠なんだ。

 そして、この正反射光はシミなどの色味の観察には適さない光なんだ。」

 

営業 Eくん

「え?そうなんですか?」

 

Aくん

「ほら、ピッカピカに磨き上げられた赤い車でも、太陽が反射して写り込んでいたら、

 その個所は赤色に見えないでしょ?」

 

営業 Eくん

「確かに。ということは、

 この正反射光を取り除けば、コントラストは向上するってことか!」

 

営業 Bくん

「ああ、ちょうど俺がそう言おうと思ってたのに~!!」

 

Aくん

「じゃあ、正反射光をカットして見てごらん。どうすればそれが出来るかはわかるよね?」

 

営業 Eくん

「はい!偏光を活用すればカットできるので、偏光板と偏光フィルターを照明とレンズに取付ますね!」

 

Aくん

「さすが!よく勉強してるな!じゃあ、早速やってみよう!」

 

営業 Eくん

「それじゃあ、偏光を利かせてみます。えいっ!!」

 

営業 Bくん

「おおお!すごい!更にコントラストが向上した!」

 

営業 Eくん

「ほんと、これはすごい!最初の状態とは大違いです!

 ここまでハッキリと見えるようになれば安定して検査できそうですね!」

 

Aくん

「今回は最適な照射波長を選択することと、色味の観察に有効ではない正反射光をカットして、

 樹脂表面からの拡散反射光だけを捉えることでコントラストが大きく改善できた事例だね。」

 

営業 Eくん

「ほんと、驚きました!シミとか汚れの検査はお客様からもたくさん相談いただくので、

 今後も活用していきます!ところで、偏光を利かせた時にどういう原理でこのような

 効果が得られたのか、詳しく教えてもらえませんか?」

 

Aくん

「いいよ。それについてはこのベテラン営業マンのBが詳しく説明してくれるからね。

 B先生、お願いします♪」

 

営業 Bくん

「お、おう、そ、それはだな。これがビカーって光ったのを

 こいつでガッとカットして、ブワーってこの光だけ取り込んだからだ!」

 

営業 Eくん

「B先輩は勢いはすごいけど、どうも正反射光ばっかりだな~・・・。」

 

Aくん

「そうだね~、B先生の気合と根性はカットして、有効な部分だけ活用すればイイね。」

 

 


おわり


LED照明にはなぜさまざまな発光色があるの?

外観検査では、ワークの特徴をとらえるために、色の特性を使用することがあります。

◆光源色と物体色が、目で見た色と似ている場合
→ 物体は光を返すために明るく撮像できる。

光源色と物体色が、目で見た色と似ている場合、物体は光を返すために明るく撮像できる

◆光源色と物体色が、目で見た色と似ていない場合
→ 物体は光を吸収するために暗く撮像できる。

光源色と物体色が、目で見た色と似ていない場合、物体は光を吸収するために暗く撮像できる

偏光とは?

光波の電気ベクトルの振動方向が規則的な光のことを「偏光」と呼びます。
偏光板と偏光フィルターの併用により、ワークの表面反射を取り除くことができます。

偏光板・偏光フィルター

外観検査環境の最適化は、シーシーエスのテスティングルームで、
ライティングコンサルタントにご相談いただきながらお試しいただくことが可能です。

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