目に見えないムラを可視化!干渉縞照明+AI外観検査
(2023年 6月)
コーティング塗布の有無やムラなどの検査には、ナトリウムランプや三波長蛍光灯による
干渉縞の観察が行われてきました。これらの光源は、エネルギー効率等の観点から
メーカー各社の生産中止が相次いでおり、代替光源が求められています。
今回は、このような課題を解決する画期的な照明と、その検出方法についてご紹介します。
登場人物
- ライティングコンサルタント Aくん・・・数多くの難案件をライティング技術で解決に導く、期待のコンサルタント
- 営業マン Bくん・・・若さと元気とやる気だけが取り柄のシーシーエスのムードメーカー的営業マン
- Y係長・・・フィルムメーカーで検査装置を任せられている担当者
今日はお客様がフィルムの検査でお困りということで、製造工場に訪問です。
営業 Bくん
「お客様の工場に入らせてもらえるなんて、楽しみだな~!」
Aくん
「お?珍しいな!
お前が仕事に前のめりになるってことは、何か魂胆がありそうだな。」
営業 Bくん
「何言ってるんだ!この工場の受付係が可愛いとか、
海沿いの工場で、ランチの海鮮丼が楽しみだとか、
そんなこと微塵も思ってないからな!」
Aくん
「完全に仕事そっちのけだな...。」
営業 Bくん
「さあ、工場に着いたぞ!しょうもない詮索をしないで、目の前の仕事に集中しろよ!」
Aくん
「どの口がそんなこと言うんだ!」
ピンポ~ン!
営業 Bくん
「ごめんくださーい!!」
Y係長
「やあ、はるばるようこそ!」
営業 Bくん
「Y係長、お世話になっております!
ところで、今日は先日の受付の方はいらっしゃらないんですか?」
Y係長
「ああ、彼女は先月から産休でねー。復帰は来年かな。」
営業 Bくん
「そ、そんなぁ~!」
Aくん
「こら!いきなり抜け殻かよ!目の前の仕事に集中するんだろ!
ところで、Y係長、お困りの要件ってどういうものですか?」
Y係長
「あそこでフィルムの目視検査をしているのが見えるかい?
あの検査でNGになった部分のカットサンプルがここにあるんだけど。」
営業 Bくん
「え!?それらしい欠点が見当たらないですが、ほんとに欠点が含まれているんですか?」
Y係長
「ここにコーティングのムラのような欠点があるんだけど、この場所では見えないんだ。
以前はこちらの部屋でも見えていたんだけどね。」
Aくん
「検査されているあの場所もフィルムの上方の比較的低い位置に蛍光灯があるだけで
別段変わったライティングをしているようには見受けられませんね。
この室内の照明と向こうのラインに設置されている照明は何が違うんですか?」
Y係長
「そうだね~。あんまり気にしたことなかったけど、最近この部屋の蛍光灯を
LED電灯に交換したんだよ。」
Aくん
「なるほど。いま検査エリアに設置されている照明は、三波長蛍光灯といって、
光の三原色(青・緑・赤)と呼ばれる色域に希土類蛍光体というものを利用して、
色味をより自然なものにした蛍光灯を使っているのだと思います。」
Y係長
「その自然な色味が重要だということ?」
Aくん
「いえ、色味じゃなくて、三波長蛍光灯のスペクトル分布がポイントです。」
Y係長
「同じような白色に見えるけど、この天井のLED電灯とはそれが違うってこと?」
Aくん
「そうなんです。この三波長蛍光灯は青・緑・赤の3つの帯域が極めて狭いスペクトル幅で、
フィルム表面のコーティング層が光の干渉により縞模様に見えるんですよ。
この縞を『干渉縞』といいます。」
Y係長
「確かに検査している所ではフィルム表面に薄い虹色の縞模様が見えていたよ。
その干渉縞の歪み方を見ることで欠点の検査をしていたんだ。」
Aくん
「表面のコーティングのムラのような非常に薄い膜厚の違いを可視化するには、
極めて狭い波長帯域の光を照射してあげる必要があるんです。」
Y係長
「なるほど、でもそれは困ったな。いま我々の工場でも環境問題の改善に力を入れていて、
近いうちにこの建屋内の蛍光灯の使用をやめる動きが出てきてるんだ。
これがLED電灯になると検査できなくなるということだよね?」
Aくん
「そうですね。一般的なLED光源では波長帯域が広すぎて、
干渉縞を利用して欠点を捉えることは難しいでしょうね。」
営業 Bくん
「まいったなぁー。今回ばかりはお手上げか!」
Aくん
「いや、そんなことないですよ。
実は他でも同じようなご要望をいただいていて、三波長蛍光灯やナトリウムランプのように
極めて狭いスペクトル幅を持った照明を新たに開発したんです。これがその干渉縞検査用照明です!」
Y係長
「おお!なんというタイミング!!
パッと見は普通のライン照明に見えるけど、本当に欠点が見えるの?」
Aくん
「まあ、ご覧ください。この部屋の電気を消してもらっていいですか?
それでは点灯してみますよ。」
ピカッ!
Y係長
「おお!干渉縞がくっきりとキレイに見えて、欠点部分の縞の歪みがよくわかる!
これ、蛍光灯で見るよりも更にハッキリ見えるね!」
Aくん
「そうですね。今は青・緑・赤の3色を組み込んだタイプをご覧いただきましたが、
単色タイプもございますので、用途に応じてお選びいただけます。」
Y係長
「この結果なら、目視検査で充分に使えそうだ!
そうなると、ゆくゆくは自動化をしてみたくなるなぁ~。」
営業 Bくん
「いや、そうは言ってもこの縞が様々な形で、どのように出るのかわからないとなると
自動化は中々ですよ。」
Y係長
「それは確かにそうだよね。」
Aくん
「実はそれに関しても、面白い取り組みを行なって、一定の成果が出ています。」
Y係長
「それは一体どうやってるの!?」
Aくん
「実はこの縞パターンの画像をAIで学習させるんですよ。
弊社には画像処理アプリケーションにAI推論機能を実装したソリューション愛(AI)
というものがあります。 ちょうど干渉縞を学習させた結果があるのでご覧ください。」
Y係長
「こ、これはすごい!!見事に縞パターンが歪んでる部分だけが欠点として捉えられている!!」
Aくん
「まだ試験中で、学習枚数も少ない状態ですが、比較的安定して欠点を捉えられています。
ワークや検査環境にもよりますが、AIと組み合わせれば、自動化出来る可能性がありますね。」
Y係長
「いや~、今日は来てもらって本当に良かったよ!
大きな課題がおかげで解消できそうだ。
あれ?そういえばBくん、そんなところで何やってるの?」
営業 Bくん
「この干渉縞検査用照明でコーティングのムラがこれだけハッキリ見えるんなら、
俺の鼻の油を付けたらどう変化するのかな~って思ってましてね!」
Aくん
「こらーっ!ワークサンプルを汚すんじゃないっ!!
お前のギットギトの油は、干渉縞じゃなくても簡単に見えるわー!!」
■干渉縞検査用照明 LDF-NBシリーズ
- ● 三波長蛍光灯やナトリウムランプからの設備更新に
- ● 独自の光学技術により、LD光源特有のスペックルノイズを低減
- ● 用途に応じて選べる4種の発光色をご用意
(赤色、緑色、青色、赤/緑/青 混色)
■用途例
- ● フィルムやガラス等のコーティング有無、ムラ検査
- ● ガラス貼り合わせのムラ検査
- ● ウエハー上の塗布ムラ検査
■撮像事例
徒然日記でご紹介した干渉縞検査用照明とAI外観検査の組み合わせは、
7月13日(木)・14日(金)開催のソリューションEXPO 2023 in 名古屋に展示しています。
今回ご紹介した製品は、シーシーエスのテスティングルームで、
ライティングコンサルタントにご相談いただきながらお試しいただくことが可能です。
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