モノクロ画像をカラー化！
色味とキズを1つのステージで観察する裏ワザ
（2023年5月）
ラインカメラを用いて、色味情報と正反射観察のような複数項目を検査する場合、
通常はカラーとモノクロカメラそれぞれのステージを用意する必要があります。
今回は、そんな複数検査をモノクロカメラの1つのステージのみで画像取得を可能にする、
最新のラインカメラ活用術をご紹介します。
登場人物
- ライティングコンサルタント Aくん・・・数多くの難案件をライティング技術で解決に導く、期待のコンサルタント
- 営業マン Ｂくん・・・若さと元気とやる気だけが取り柄のシーシーエスのムードメーカー的営業マン
- D部長・・・見た目はちょっと怖いけど、実は優しく人望の厚い装置メーカーの技術部門責任者
今日はお客様がご来社され、ラインカメラを用いた実験をおこなう予定です。
Aくん
「今日は天気が良くて、気持ちがいいなぁ～。」
営業 Bくん
「まったくだ！こんな日は部屋の中で実験してる場合じゃないな！
今度、トラックの荷台に実験室を作って、屋外で実験できるようにしてくれよ～！」
Aくん
「無茶言うな！外乱光がバンバン入るし、雨でも降ったら実験どころじゃなくなるわ！」
営業 Bくん
「どんな課題も解決してこそのライティングコンサルタントだろ。」
ピンポ～ン！
Aくん
「ほら、しょうもないこと言ってるうちにお客様がいらっしゃったぞ！」
営業 Bくん
「D部長、ようこそお越しくださいました！
D部長自らがお出ましということは、難しいテーマをお持ちくださったんですか？」
D部長
「やあ、Bくん。久しぶり！実はそうなんだ。
この基板の外観検査を考えているんだけど、なかなか難しそうな課題が出てきてね。」
Aくん
「一体どういう点なんでしょう？」
D部長
「複数種類の基板にある表面のシミの検査と、キズの検査を同時にやりたいと思っていてね。」
営業 Bくん
「うわ、ご用意いただいた基板、だいぶ色味が違ってるので、
シミを安定して見分けるのが難しそうですね...。」
D部長
「うん。だからシミに関してはカラーカメラでの検査を検討しているんだけど、
1台のカメラでキズの検査も同時に必要で、スペースの制約上、
2つの検査を両立させることが出来ないんだよ。」
Aくん
「確かに、キズを観察するためにワーク全体を正反射光で照射すると、
微妙な色の変化を捉える必要があるシミの検出は困難になりますね。」
D部長
「やっぱりそうだよね．．．。貸出機で、色々トライしてみたんだけどね～．．．。」
営業 Bくん
「D部長、これは１台のカメラで共存させるのは無理がありますよ！」
Aくん
「いや、ちょっと待ってください！
ひょっとするとモノクロカメラでも、それが実現できるかもしれませんよ。」
営業 Bくん
「おいおい！人の話をちゃんと聞いてたか？
この微妙な色味のシミを検査するのには、カラーカメラが必要だってさっき言っただろ！」
Aくん
「普通に撮像したらその通りなんだけど、実はこれを併用するんだよ。」
営業 Bくん
「こ、これは、RGBラインドーム照明と、同軸ユニットを付けた白色ライン照明！！
でも、これを使ってもモノクロカメラで撮像していたら意味がないんじゃないの？？」
Aくん
「それが、これらを組み合わせると、面白いことが出来るんだ。
このRGBラインドーム照明を赤・緑・青の色ごとに個別点灯させ、3枚の画像を取得する。
そこに同軸ユニット付き白色ライン照明の画像も合わせて合計4枚の画像を一度に取得するんだ。」
D部長
「エリアカメラで検査物が静止してるならわかるけど、
ラインカメラでコンベア搬送中にそんなことが本当にできるのかな？」
Aくん
「はい。実際にはカメラが1ライン分の画像を撮り込む一瞬の間に照明を高速で点灯切り替えし、
4枚の画像を取得できるんです。」
営業 Bくん
「なるほど、1ステージでのマルチスキャンか！」
Aくん
「4枚の画像のうち、赤・緑・青それぞれの光で照射した3枚の画像を合成し色付けすれば、
モノクロカメラでもカラー画像が得られます！」
D部長
「まさか！モノクロカメラがカラーカメラの代わりに使えるなんて！」
Aくん
「カメラ側でフィルターによる分離をしている訳ではないので、分解能が落ちません。
それに、取得できるのはカラー画像だけじゃないですよ。」
営業 Bくん
「そうか！この画像だけじゃなく同軸照明の画像も一度に取得できるのか！」
Aくん
「そう、高速で点灯切り替えしながら撮像することで、同時点灯ならお互いの効果が
相殺されてしまう照明を一緒に使えるんです！！まあ、論より証拠。ご覧ください！」
シュイーーーーン！
D部長
「ほんとだ！本当にカラーカメラのような画像で、シミの判別ができてる！
しかも、同軸照明による別画像でキズもしっかりと捉えられてるね！」
Aくん
「これがラインカメラを用いた最新の検査システムです！」
D部長
「いや～、恐れ入ったよ！こんな方法で、カラーの画像だけじゃなく、
キズまで同時に捉えるなんて！スペース問題もこれで一気に解決だよ！」
ゴソゴソゴソ．．．。
D部長
「おや？ Bくん、システムを台車に括り付けて、どこに持っていこうとしてるんだい？」
営業 Bくん
「決まってるじゃないですか！ 今日みたいな日は、続きは外で気持ちよくやりましょう！」
Aくん
「おいおい！人の話をちゃんと聞いてたか？
外乱光が入る屋外で、こんな精密なテストができるかーー！」
■モノクロラインカメラによる複数検査ソリューション
RGBラインドーム照明+同軸照明で、汚れ・キズ等、異なる複数の
検査項目を1ステージで観察することが可能です。
■撮像事例 基板の外観検査
RGBラインドーム照明で各色の撮像画像と、凹凸情報がわかる同軸照明での撮像画像を同時に取得して、
RGBの各色の画像から色味情報が判別できるカラー画像を生成します。
モノクロラインカメラによる複数検査ソリューションは、6月8日(木)・9日(金)開催の
シーシーエスマシンビジョンEXPO 2023 in 大阪に展示しています。
今回ご紹介した製品は、シーシーエスのテスティングルームで、
ライティングコンサルタントにご相談いただきながらお試しいただくことが可能です。
ぜひ、下記フォームよりお問い合わせください。
■お問い合わせ
フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。
恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。