光と色の話 第一部

光と色の話 第一部

第7回 放射量 と 測光量(その4)

「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」

はじめに

前回は、光量と放射エネルギー、照度と放射照度、光束発散度と放射発散度のそれぞれについて幾何学的条件を説明しました。今回は、光度と放射強度、輝度と放射輝度についての幾何学的条件を前回と同様にシャワーの例え話で説明します。今回の説明は、幾何学的条件として新たに角度(立体角 ※1 )の条件が加わるのが特徴的な内容です

「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」の幾何学的概念

「光度」は、光源から或る方向に向かって、単位立体角 ステラジアン [ sr ] 当りに どれだけの光束 [ lm ] が放出されているか、を示す測光量です。光度の単位は、その定義から [ lm / sr ] という次元になりますが、この意味で特別に カンデラ [ cd ] という単位名称が設けられています。因みに、カンデラの語源は、ろうそく( candle )からきています。昔はろうそく 1 本の明るさ(光度)が基準だったのですね。

シャワーの例で説明します。シャワーヘッドの吹き出し口からは、 1 本の水流が吹き出されているのではなく、例えば霧吹きのように多数の水滴が或る角度範囲にわたって噴出していると考えて下さい。
この吹き出し口の法線方向から角度 θ 方向に噴出する水滴群を考えます。
シャワー吹き出し口の拡大図のように、吹き出し口の法線方向から角度 θ だけ傾いた方向に噴出する水滴群の勢いは一般的には法線方向とは異なります。この θ 方向の単位立体角当りに吹き出される水滴群(光束)が「光度」に相当すると考えられます。

以上は「光束」と「光度」の関係について述べましたが、「放射束」と「放射強度」についても同様な関係です。
” 単位立体角 [ sr ] 当りに放出される 放射束 [ W ] “「放射強度」 で、その単位は [ W / sr ] です。

「放射輝度」(放射量)と「輝度」(測光量)の幾何学的概念

「輝度」は上に説明した「光度」の概念に面積の概念が付け加えられたものです。
或る面積を持った光源面をその法線から角度 θ だけ傾いた方向から観察したとき、見かけの単位面積 [ m2 ] 当りの光度 [ cd ] を 「輝度」 と言います。「輝度」の単位は、[ cd / m2 ] です。
光度の単位 [ cd ] は、[ lm / sr ] とも書けますので、「輝度」は、単位立体角 [ sr ]当り、かつ見かけの単位面積 [ m2 ] 当りの光束 [ lm ] ということもでき、[ cd / m2 ] = [ lm / sr / m2 ] という関係になります。
シャワーの例で説明しましょう。シャワーヘッド(面積 A ) を斜め θ 方向から見ると、シャワーヘッドの見かけの面積は小さくなり、 A・cos θ となります。

シャワーヘッドの一点から θ 方向に向けて単位立体角当りに或る水流(光束)が放出されていますが、シャワーヘッド吹き出し部全面にわたって同様な水流(光束)放出がなされていると考えることができます。
観察方向から見れば、見かけの面積( A・cos θ )からこれらの水流(光束)が重なり合って飛んでくる、ということになります。

「輝度」という概念は正確に理解しようとするとなかなか分かりにくいのですが、平たく言えばその文字の示す通り、「輝き度合い」を表すもので、光源や壁面(反射面)の“明るさ”を表す場合によく使われます。

以上は「光束」と「輝度」の関係(あるいは「光度」と「輝度」の関係とも言えます)について述べましたが、「放射束」と「放射輝度」についても同様な関係です。”単位立体角 [ sr ] 当り、かつ見かけの単位面積 [ m2 ] 当りに放出される 放射束
[ W ] “
「放射輝度」 で、その単位は [ W / sr / m2 ] です。

「器械の眼」における「明るさ」の評価 ・・・・・「センサー測定量」

以上、各種の測光量と放射量について幾何学的概念の違いをシャワーに例えながら説明してきました。これらは、分光的な観点からは測光量と放射量に分けられ、また幾何学的な観点からは光束(放射束)、光量(放射エネルギー)、照度(放射照度)、光束発散度(放射発散度)、光度(放射強度)、輝度(放射輝度)などに分けられます。つまり、一口で「明るさ」と言っても、様々な「明るさ」があることがご理解いただけたものと思います。
ただ、マシンビジョンに関しては上記の説明だけでは不十分です。「器械の眼」の特性は「人間の眼」の特性である標準分光視感効率 V ( λ ) とは一般に異なっているからです。つまり、放射量(純粋の物理エネルギー)を「器械の眼」で評価した「明るさ」を示す量が必要となります。
考え方としては、標準分光視感効率 V ( λ ) の代わりに、「器械の眼」の分光応答度 S ( λ ) で評価した「明るさ」であり、これを当社では「測光量」に対応して 「センサー測定量」 という用語で宛てています。「センサー測定量」の中に、「測光量」の場合と同様に幾何学的概念による区分として、「センサー光束」「センサー光量」「センサー照度」「センサー光束発散度」「センサー光度」「センサー輝度」 を定義しています。

「器械の眼」には、その目的によって様々な特性があるため、現時点では世の中で基準になる特性が規定されている訳ではありません。従って、当社規定の「センサー測定量」は、明確な単位を付けることはできず、任意単位で運用しています。実際には、同一評価条件同士の測定値は相対比較ができますが、条件が異なる測定値同士の比較はできません。
この「センサー測定量」の考え方自体は、理論的に世の中に受け入れられるものと考えておりますが、具体的な用語や単位については、世の中で広く使われているものではなく、当社独自のものです。※2に、放射量、測光量、センサー測定量についてそれぞれ幾何学的な各種「明るさ」について、以上に説明したことを纏めて一覧表にして示しておきます。

まとめ

前回と今回の 2 回にわたって、各種の放射量・測光量について、その幾何学的な条件を、シャワーに例えて説明してきました。電磁的エネルギーの流れ(放射束:単位ワット [ W ] )、およびそれを「人間の眼」で評価した「明るさ」(光束:
単位 [ lm ] )が、最も基本になっており、これらに面積、立体角などの幾何学的条件や時間の要素が組み合わされて、各種の放射量、測光量が規定されていることがお分かりいただけたものと思います。
次回と次々回は、ヒューマンビジョンにおいてもマシンビジョンにおいても使用されることが非常に多い、照度(放射照度、センサー照度) および輝度(放射輝度、センサー輝度)を採り挙げて、それらの重要な特性について、もう少し掘り下げて具体的に説明する予定にしています。

注釈

※1立体角

※2

放射量( radiant quantities ) と 測光量( luminous quantities ) およびセンサー測定量引用文献:JIS Z 8120 :2001 「光学用語」、JIS Z 8113 :1998 「照明用語」

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放射量 と 測光量(その4)
「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」

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第7回 放射量 と 測光量(その4)

「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」

はじめに

前回は、光量と放射エネルギー、照度と放射照度、光束発散度と放射発散度のそれぞれについて幾何学的条件を説明しました。今回は、光度と放射強度、輝度と放射輝度についての幾何学的条件を前回と同様にシャワーの例え話で説明します。今回の説明は、幾何学的条件として新たに角度(立体角 ※1 )の条件が加わるのが特徴的な内容です

「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」の幾何学的概念

「光度」は、光源から或る方向に向かって、単位立体角 ステラジアン [ sr ] 当りに どれだけの光束 [ lm ] が放出されているか、を示す測光量です。光度の単位は、その定義から [ lm / sr ] という次元になりますが、この意味で特別に カンデラ [ cd ] という単位名称が設けられています。因みに、カンデラの語源は、ろうそく( candle )からきています。昔はろうそく 1 本の明るさ(光度)が基準だったのですね。

シャワーの例で説明します。シャワーヘッドの吹き出し口からは、 1 本の水流が吹き出されているのではなく、例えば霧吹きのように多数の水滴が或る角度範囲にわたって噴出していると考えて下さい。
この吹き出し口の法線方向から角度 θ 方向に噴出する水滴群を考えます。
シャワー吹き出し口の拡大図のように、吹き出し口の法線方向から角度 θ だけ傾いた方向に噴出する水滴群の勢いは一般的には法線方向とは異なります。この θ 方向の単位立体角当りに吹き出される水滴群(光束)が「光度」に相当すると考えられます。

以上は「光束」と「光度」の関係について述べましたが、「放射束」と「放射強度」についても同様な関係です。
” 単位立体角 [ sr ] 当りに放出される 放射束 [ W ] “「放射強度」 で、その単位は [ W / sr ] です。

「放射輝度」(放射量)と「輝度」(測光量)の幾何学的概念

「輝度」は上に説明した「光度」の概念に面積の概念が付け加えられたものです。
或る面積を持った光源面をその法線から角度 θ だけ傾いた方向から観察したとき、見かけの単位面積 [ m2 ] 当りの光度 [ cd ] を 「輝度」 と言います。「輝度」の単位は、[ cd / m2 ] です。
光度の単位 [ cd ] は、[ lm / sr ] とも書けますので、「輝度」は、単位立体角 [ sr ]当り、かつ見かけの単位面積 [ m2 ] 当りの光束 [ lm ] ということもでき、[ cd / m2 ] = [ lm / sr / m2 ] という関係になります。
シャワーの例で説明しましょう。シャワーヘッド(面積 A ) を斜め θ 方向から見ると、シャワーヘッドの見かけの面積は小さくなり、 A・cos θ となります。

シャワーヘッドの一点から θ 方向に向けて単位立体角当りに或る水流(光束)が放出されていますが、シャワーヘッド吹き出し部全面にわたって同様な水流(光束)放出がなされていると考えることができます。
観察方向から見れば、見かけの面積( A・cos θ )からこれらの水流(光束)が重なり合って飛んでくる、ということになります。

「輝度」という概念は正確に理解しようとするとなかなか分かりにくいのですが、平たく言えばその文字の示す通り、「輝き度合い」を表すもので、光源や壁面(反射面)の“明るさ”を表す場合によく使われます。

以上は「光束」と「輝度」の関係(あるいは「光度」と「輝度」の関係とも言えます)について述べましたが、「放射束」と「放射輝度」についても同様な関係です。”単位立体角 [ sr ] 当り、かつ見かけの単位面積 [ m2 ] 当りに放出される 放射束
[ W ] “
「放射輝度」 で、その単位は [ W / sr / m2 ] です。

「器械の眼」における「明るさ」の評価 ・・・・・「センサー測定量」

以上、各種の測光量と放射量について幾何学的概念の違いをシャワーに例えながら説明してきました。これらは、分光的な観点からは測光量と放射量に分けられ、また幾何学的な観点からは光束(放射束)、光量(放射エネルギー)、照度(放射照度)、光束発散度(放射発散度)、光度(放射強度)、輝度(放射輝度)などに分けられます。つまり、一口で「明るさ」と言っても、様々な「明るさ」があることがご理解いただけたものと思います。
ただ、マシンビジョンに関しては上記の説明だけでは不十分です。「器械の眼」の特性は「人間の眼」の特性である標準分光視感効率 V ( λ ) とは一般に異なっているからです。つまり、放射量(純粋の物理エネルギー)を「器械の眼」で評価した「明るさ」を示す量が必要となります。
考え方としては、標準分光視感効率 V ( λ ) の代わりに、「器械の眼」の分光応答度 S ( λ ) で評価した「明るさ」であり、これを当社では「測光量」に対応して 「センサー測定量」 という用語で宛てています。「センサー測定量」の中に、「測光量」の場合と同様に幾何学的概念による区分として、「センサー光束」「センサー光量」「センサー照度」「センサー光束発散度」「センサー光度」「センサー輝度」 を定義しています。

「器械の眼」には、その目的によって様々な特性があるため、現時点では世の中で基準になる特性が規定されている訳ではありません。従って、当社規定の「センサー測定量」は、明確な単位を付けることはできず、任意単位で運用しています。実際には、同一評価条件同士の測定値は相対比較ができますが、条件が異なる測定値同士の比較はできません。
この「センサー測定量」の考え方自体は、理論的に世の中に受け入れられるものと考えておりますが、具体的な用語や単位については、世の中で広く使われているものではなく、当社独自のものです。※2に、放射量、測光量、センサー測定量についてそれぞれ幾何学的な各種「明るさ」について、以上に説明したことを纏めて一覧表にして示しておきます。

まとめ

前回と今回の 2 回にわたって、各種の放射量・測光量について、その幾何学的な条件を、シャワーに例えて説明してきました。電磁的エネルギーの流れ(放射束:単位ワット [ W ] )、およびそれを「人間の眼」で評価した「明るさ」(光束:
単位 [ lm ] )が、最も基本になっており、これらに面積、立体角などの幾何学的条件や時間の要素が組み合わされて、各種の放射量、測光量が規定されていることがお分かりいただけたものと思います。
次回と次々回は、ヒューマンビジョンにおいてもマシンビジョンにおいても使用されることが非常に多い、照度(放射照度、センサー照度) および輝度(放射輝度、センサー輝度)を採り挙げて、それらの重要な特性について、もう少し掘り下げて具体的に説明する予定にしています。

注釈

※1立体角

※2

放射量( radiant quantities ) と 測光量( luminous quantities ) およびセンサー測定量引用文献:JIS Z 8120 :2001 「光学用語」、JIS Z 8113 :1998 「照明用語」

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放射量 と 測光量(その4)
「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」

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第7回 放射量 と 測光量(その4)

「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」

はじめに

前回は、光量と放射エネルギー、照度と放射照度、光束発散度と放射発散度のそれぞれについて幾何学的条件を説明しました。今回は、光度と放射強度、輝度と放射輝度についての幾何学的条件を前回と同様にシャワーの例え話で説明します。今回の説明は、幾何学的条件として新たに角度(立体角 ※1 )の条件が加わるのが特徴的な内容です

「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」の幾何学的概念

「光度」は、光源から或る方向に向かって、単位立体角 ステラジアン [ sr ] 当りに どれだけの光束 [ lm ] が放出されているか、を示す測光量です。光度の単位は、その定義から [ lm / sr ] という次元になりますが、この意味で特別に カンデラ [ cd ] という単位名称が設けられています。因みに、カンデラの語源は、ろうそく( candle )からきています。昔はろうそく 1 本の明るさ(光度)が基準だったのですね。

シャワーの例で説明します。シャワーヘッドの吹き出し口からは、 1 本の水流が吹き出されているのではなく、例えば霧吹きのように多数の水滴が或る角度範囲にわたって噴出していると考えて下さい。
この吹き出し口の法線方向から角度 θ 方向に噴出する水滴群を考えます。
シャワー吹き出し口の拡大図のように、吹き出し口の法線方向から角度 θ だけ傾いた方向に噴出する水滴群の勢いは一般的には法線方向とは異なります。この θ 方向の単位立体角当りに吹き出される水滴群(光束)が「光度」に相当すると考えられます。

以上は「光束」と「光度」の関係について述べましたが、「放射束」と「放射強度」についても同様な関係です。
” 単位立体角 [ sr ] 当りに放出される 放射束 [ W ] “「放射強度」 で、その単位は [ W / sr ] です。

「放射輝度」(放射量)と「輝度」(測光量)の幾何学的概念

「輝度」は上に説明した「光度」の概念に面積の概念が付け加えられたものです。
或る面積を持った光源面をその法線から角度 θ だけ傾いた方向から観察したとき、見かけの単位面積 [ m2 ] 当りの光度 [ cd ] を 「輝度」 と言います。「輝度」の単位は、[ cd / m2 ] です。
光度の単位 [ cd ] は、[ lm / sr ] とも書けますので、「輝度」は、単位立体角 [ sr ]当り、かつ見かけの単位面積 [ m2 ] 当りの光束 [ lm ] ということもでき、[ cd / m2 ] = [ lm / sr / m2 ] という関係になります。
シャワーの例で説明しましょう。シャワーヘッド(面積 A ) を斜め θ 方向から見ると、シャワーヘッドの見かけの面積は小さくなり、 A・cos θ となります。

シャワーヘッドの一点から θ 方向に向けて単位立体角当りに或る水流(光束)が放出されていますが、シャワーヘッド吹き出し部全面にわたって同様な水流(光束)放出がなされていると考えることができます。
観察方向から見れば、見かけの面積( A・cos θ )からこれらの水流(光束)が重なり合って飛んでくる、ということになります。

「輝度」という概念は正確に理解しようとするとなかなか分かりにくいのですが、平たく言えばその文字の示す通り、「輝き度合い」を表すもので、光源や壁面(反射面)の“明るさ”を表す場合によく使われます。

以上は「光束」と「輝度」の関係(あるいは「光度」と「輝度」の関係とも言えます)について述べましたが、「放射束」と「放射輝度」についても同様な関係です。”単位立体角 [ sr ] 当り、かつ見かけの単位面積 [ m2 ] 当りに放出される 放射束
[ W ] “
「放射輝度」 で、その単位は [ W / sr / m2 ] です。

「器械の眼」における「明るさ」の評価 ・・・・・「センサー測定量」

以上、各種の測光量と放射量について幾何学的概念の違いをシャワーに例えながら説明してきました。これらは、分光的な観点からは測光量と放射量に分けられ、また幾何学的な観点からは光束(放射束)、光量(放射エネルギー)、照度(放射照度)、光束発散度(放射発散度)、光度(放射強度)、輝度(放射輝度)などに分けられます。つまり、一口で「明るさ」と言っても、様々な「明るさ」があることがご理解いただけたものと思います。
ただ、マシンビジョンに関しては上記の説明だけでは不十分です。「器械の眼」の特性は「人間の眼」の特性である標準分光視感効率 V ( λ ) とは一般に異なっているからです。つまり、放射量(純粋の物理エネルギー)を「器械の眼」で評価した「明るさ」を示す量が必要となります。
考え方としては、標準分光視感効率 V ( λ ) の代わりに、「器械の眼」の分光応答度 S ( λ ) で評価した「明るさ」であり、これを当社では「測光量」に対応して 「センサー測定量」 という用語で宛てています。「センサー測定量」の中に、「測光量」の場合と同様に幾何学的概念による区分として、「センサー光束」「センサー光量」「センサー照度」「センサー光束発散度」「センサー光度」「センサー輝度」 を定義しています。

「器械の眼」には、その目的によって様々な特性があるため、現時点では世の中で基準になる特性が規定されている訳ではありません。従って、当社規定の「センサー測定量」は、明確な単位を付けることはできず、任意単位で運用しています。実際には、同一評価条件同士の測定値は相対比較ができますが、条件が異なる測定値同士の比較はできません。
この「センサー測定量」の考え方自体は、理論的に世の中に受け入れられるものと考えておりますが、具体的な用語や単位については、世の中で広く使われているものではなく、当社独自のものです。※2に、放射量、測光量、センサー測定量についてそれぞれ幾何学的な各種「明るさ」について、以上に説明したことを纏めて一覧表にして示しておきます。

まとめ

前回と今回の 2 回にわたって、各種の放射量・測光量について、その幾何学的な条件を、シャワーに例えて説明してきました。電磁的エネルギーの流れ(放射束:単位ワット [ W ] )、およびそれを「人間の眼」で評価した「明るさ」(光束:
単位 [ lm ] )が、最も基本になっており、これらに面積、立体角などの幾何学的条件や時間の要素が組み合わされて、各種の放射量、測光量が規定されていることがお分かりいただけたものと思います。
次回と次々回は、ヒューマンビジョンにおいてもマシンビジョンにおいても使用されることが非常に多い、照度(放射照度、センサー照度) および輝度(放射輝度、センサー輝度)を採り挙げて、それらの重要な特性について、もう少し掘り下げて具体的に説明する予定にしています。

注釈

※1立体角

※2

放射量( radiant quantities ) と 測光量( luminous quantities ) およびセンサー測定量引用文献:JIS Z 8120 :2001 「光学用語」、JIS Z 8113 :1998 「照明用語」

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放射量 と 測光量(その4)
「光度/放射強度」 と 「輝度/放射輝度」

Q1.参考になりましたか?
Q2.次回連載を期待されますか?

アンケートにご協力いただきありがとうございました。